Q.労働者から有給休暇の買上げの申出があった場合、会社は必ず買上げなければならないのでしょうか?

2022.07.25労働時間と休日

A.年次有給休暇の買上げは、原則禁止されています。 
 
行政通達※では、「年次有給休暇と買上げの予約」について「年次有給
休暇の買上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し
得る年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、
法第39条の違反である」とあり、年次有給休暇の買取を違法としています。

例外として、年次有給休暇の買取が認められているケースが3つあります。

①退職時に年次有給休暇が消化しきれず残っている場合

退職までに取得できなかった年次有給休暇については、退職の際に買い取
りが可能ですが、法律で定められた義務ではありませんので、会社の判断
で対応を決めることができます。

②時効により使用できなくなった年次有給休暇を買い取る場合

年次有給休暇は付与されてから2年を経過すると時効により消滅します。
時効消滅し、取得できなくなった年次有給休暇については、その分を会社
側が買取ることは認められます。

この場合、未消化分の有給買取制度があることにより、年5日の消化がで
きない、または、有給取得率が低下するようなことがないように注意が必
要です。

③法律で定められた日数を上回る年次有給休暇を付与している場合

例えば、勤続6ヵ月を超える従業員について、法律上は10日間の年次有
給休暇を付与するところ、15日間の年次有給休暇を与えている場合、法
律を上回る5日分については、買い取ることが可能となります。

なお、年次有給休暇の買上げが就業規則に規定されている場合は、会社の
義務として対応が必要になり、買い上げの申出があった場合には、会社は
断ることができませんので注意が必要です。

※行政通達(昭和30年11月30日、基収4718号)

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