Q.社員が病気療養のため、数か月会社を休むことになりました。その場合の休職期間や、期間中の対応など教えてください。

2022.02.10休職・復職

A.まずは、傷病休職期間の定めがあるか就業規則をご確認ください。
また、傷病休職期間中は、給与の支払い義務がなくなります。
その方が社会保険に加入している場合は「傷病手当金」の申請で、
標準報酬日額の2/3が支給されます。
(例:直近1年間の平均標準報酬月額が30万円の場合は、
日額は1万円となります。20日分の支給額は20万円です。)

●傷病休職期間について

休職期間は、法律で決められているものではないため、
会社が任意で就業規則に期間を定めることができます。
一般的には、勤続年数に応じて休職期間に差を設けている会社が多いです。

例えば、「勤続年数1年未満は休職期間無し」、
「1年以上5年未満は3か月以内」、「5年以上は6か月以内」など
細かく設定することをお勧めしています。

休職期間が満了した場合には、復職できなければ原則自然退職となります。

●休職に入る際の手続き

【休職願】
本人から医師の診断書を添えて休職願を提出してもらう必要があります。
医師の診断書を元に、本人および会社間で休職の期間を定めます。

【休職命令書】
休職願を受け取ったあと、休職期間の取り扱いについて
記載した「命令書」を本人に通知します。

命令書の取り扱いの一例として、
・療養に専念すること
・1週間に1回以上は会社に近況の報告をすること
・休職期間中は無給になるため、社会保険料や住民税の徴収方法について記載すること
等々を命令書に記載し、本人に通知します。

【休職に関する誓約書】
上記の命令書と同時に本人と休職に関する誓約書の取り交わしを行います。
休職期間中の過ごし方や、順守事項を記載します。

遵守事項の一例として、
・休職期間中にアルバイトなどの他の労働をしないこと
・休職者という自覚を持ち、SNSの利用に対して自覚をもって行動すること
(遊びに行っている写真をSNSにあげたりしないなど)
・診断書等の提出物などを遅滞なく提出すること
等々を誓約書に記載します。

●休職期間中の傷病手当金について

一般的には休職中はノーワークノーペイという原則から支払い義務がなくなります。
給与の支給がある場合は、傷病手当金が減額されます。

医師の診断結果が「労務不能」と診断されている期間、
最大1年6か月受給することができます。
また在職中の被保険者期間が1年以上あれば退職後も受給が可能です。

●法律改正(令和4年1月1日から)

対象:令和2年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金
改正前:支給開始日から1年6ヶ月後まで支給可能
(期間で判断。傷病手当金を何日分支給したかに関わらず、
1年6ヶ月後は申請が出来なくなります)
改正後:支給開始日から1年6ヶ月分(日単位)の支給が終わるまで支給可能
(支給日数で判断。)

具体的に何日分なのか?は、支給開始日によって異なります。
カレンダーにより暦が異なるため、
支給開始日から1年6ヶ月後までの暦日数をカウントします。

●数日間のお休みでも、要件を満たせば、傷病手当金申請が可能です。
傷病手当金は健康保険の制度です。(会社が自由に定める傷病休職とは別制度です)
要件は3点です。
1、連続3日間仕事を休んでいる(全て公休日又は全て有給休暇でも問題なし)
2、上記1の期間に対し、医師の労務不能証明がある
3、業務上・通勤上のケガ・病気ではない
上記3要件を満たした場合、
傷病手当金は、4日目以降、仕事を休み、かつ医師の労務不能証明がある期間に対し支給されます。
※お休み3日目までは待期期間と呼ばれ、傷病手当金の支給はありません。

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