Q.シフト制のアルバイトについて、日によって労働時間が変わることもあるため、年次有給休暇を取得する場合の給与の計算方法を教えてください。
2021.11.10労働時間と休日
A.計算方法は大きく分けて3通りあります。
それぞれメリット・デメリットがありますので、
自社に合った計算方法を見付けましょう。
今回は、時給1,500円、月に90時間(月15日程度)シフト制で
勤務される方を想定し、計算例をご案内します。
●通常の賃金
いつもの勤務時間と時給から計算する方法です。
雇用契約書に定められた所定労働時間×時給で計算しますので、
計算方法が簡便であることがメリットです。
シフト制で、1週間・1か月の労働日数・労働時間があらかじめ
決まっている場合には、有給休暇(以下、有休といいます)
取得日の勤務時間×時給で計算しますが、この場合、
長くシフトに入っている日に有休を取得すると
支払われる給与が高くなります。
(計算式)
時給×有休を取った日のシフト時間
(例)
・6時間勤務する日に有休を取った場合、
1,500円 × 6時間 = 9,000円
・2時間勤務する日に有休を取った場合、
1,500円 × 2時間 = 3,000円
同じ1日の休暇であっても、労働時間の長い日と短い日で
支給額に差が生じ、勤務時間の長い日に有休取得者が
集中するなどのデメリットが考えられます。
●平均賃金
有休取得日以前3か月間の平均賃金から算出する方法です。
直近3か月間の賃金総額(賞与や臨時手当などを除きます)を
その3か月間の暦日数で割って計算します。
なお、最低保証があり、平均賃金と最低保証額を比較して
高い方の金額を支給します。
(平均賃金の算出方法)
直近3か月の賃金総額が405,000円(135,000円×3か月)で、
3か月の暦日数が91日、合計勤務日数が45日だった場合
・平均賃金: 405,000円 ÷ 91日 = 4,450.54円
(少数第3位で切り捨てます)
・最低保証:(405,000円 ÷ 45日) × 0.6 = 5,400円
※ 最低保証額の方が高いので、支給額は5,400円になります。
(計算式)
有休取得時の平均賃金×有休日数(シフト時間に関係なく)
2日有休を取得した場合、5,400円×2日=10,800円
この場合、1日の労働時間の長短によって
支給される賃金額が異なるという不公平感がなくなるうえ、
支給額が抑えられるというメリットがあります。
但し、平均賃金は、有休を取得する都度
計算しなければならないため、事務処理が煩雑になり
手間が掛かるというデメリットがあります。
●健康保険の標準報酬日額
健康保険の「標準報酬日額相当額」により算出する方法です。
この方法を使う場合には、会社と社員との間で
労使協定を締結しなければなりません。
また、健康保険に加入していない社員には使えません。
(標準報酬日額相当額の算出方法)
月の賃金平均が135,000円で、標準報酬月額が134,000円の場合、
標準報酬日額相当額:134,000円÷30日=4,470円
(計算式)
標準報酬日額相当額×有休日数(シフト時間に関係なく)
2日有休を取得した場合、4,470円×2日=8,940円
有休取得時の賃金計算方法を3通り解説しました。
会社の方針によって、適切な方法を決定します。
ただし、社員によって、または場合により、計算方法を
変えて良いという訳ではなく、会社で決めた後は
必ずその方法で計算しなければいけません。
計算方法を決定する時は専門家に相談することをお勧めします。