Q. 美容院を3店舗経営しております。1か月単位の変形労働時間制の導入を検討しておりますが、導入時及び運用上の注意点について教えてください
2021.06.10服務規程
A.
① 1か月単位の変形労働時間制とは
対象期間を1か月以内に定めて、その期間の中で1週間当たりの
労働時間の平均が法定の範囲内に収まっていれば、特定の日に
8時間、特定の週に40時間を超えて労働することができる制度です。
1か月の間に繁忙期、閑散期がある業種に適しています。
② 導入時の注意点
事前に就業規則の作成を行ない、1か月単位の変形労働時間制
を導入する記載をしなければなりません。
また労働者数に関わらず作成は必須で、10人以上の会社(事業場)
では、就業規則を労働基準監督署への届出なければなりません。
③ 就業規則の記載事項
就業規則には1か月単位の変形労働時間制を適用する旨以外にも
対象者の範囲、対象期間、起算日を記載することが必要です。
具体的な記載例は、次のとおりです。
「所定労働時間は、毎月1日を起算日とした1か月単位の変形労働時間制
を適用します。
この場合、所定労働時間は1か月を平均し、1週間あたり週法定労働時間を
超えない範囲とします。
また1か月の労働時間の総枠は次の通りとします。」
31日の月 177時間 (194時間)
30日の月 171時間 (188時間)
29日の月 165時間 (182時間)
28日の月 162時間 (176時間)
※()内は特例措置対象事業に当てはまる場合の総労働時間です。
特例措置対象事業とは、
常時10人未満の労働者を使用する事業場で次に掲げる業種に該当する
事業場をいいます。(店舗ごとで人数を把握します)
卸売業、小売業、理美容業、倉庫業等、映画・演劇業
保健衛生業(病院、診療所、社会福祉施設等)
接客娯楽業(旅館、飲食店等)
④ 勤務シフト表の作成
勤務シフトは対象期間の前日までに作成し、従業員に周知しなければなりません。
また業務の都合によりシフトを途中で変更する場合、その変更された日は、変形労働
時間制が適用されず、法定時間を超過した時間は、残業時間を精算する
必要がありますので注意が必要です。
⑤ 時間管理についての注意点
変形労働時間制を導入すると労働者によって、始業、終業時間が一定で
なく、異なる場合もありますので、タイムカードや勤怠管理システムなど
を用いて労働時間を正しく把握しましょう。
これら変形労働時間制の導入や運用方法が、遵守されていなければ
無効となり、未払い残業代が発生することがありますので、厳格な運用を
していく必要があります。