Q.当社の従業員が売上の一部を横領したことが発覚しました。このような問題行為を行った労働者を懲戒処分しようと思いますが、何か気を付けることはありますか?

2021.05.10服務規程

A. あらかじめ就業規則(服務規定)に具体的な禁止事項が定めてあり、
その事由が懲戒・解雇事由の記載事項と一致していないと懲戒処分はできません。
本件については以下のような条文を記載し、懲戒事由と一致させる必要があります。

・会社の経費等の社金、公金の着服または流用、
請求書あるいは領収書の偽造をおこなってはなりません。

・社内の金品(本人の日常携行品を除く)を会社の許可なく、
移動、持ち出し、隠匿または使用してはなりません。

その他、トラブルが起こらないように、以下のような服務規定も記載しておきます。
・服装などの身だしなみについては、常に清潔に保つことを基本とし、
他人に不快感や違和感を与えないよう心がけなければなりません。
また、服装を正しくし、作業の安全や清潔感に留意した頭髪、身だしなみ
をしなければなりません。

・会社は必要に応じて、社員の出退勤の際あるいは会社内において
社員の所持品を検査することができます。
この場合、社員はこれに応じなければなりません。
検査の結果、所持が不正であると認めた場合はその全部または一部を、
会社が保管または没収することができます。

・個人でホームページ、ブログ、ツイッター、フェイスブック等を開設する場合は、
情報の漏えいに留意しなければなりません。
また、業務時間中にツイートやフェイスブック等の更新をしてはなりません。

経営者にとっては当たり前で盛り込む必要がないと感じられる事項でも、
記載していない事について、社員に制裁をすることはできません。
労働者との間に解釈相違があれば、トラブルの素となります。
考えられる全ての事項について、広く具体的に規定しましょう。

服務規定とは、会社のルールや約束事を示したものです。
服務規定に禁止事項を明文化して定めることで、
何か問題が起こった時に対象者を罰せられるだけでなく、
普段から社員の問題行動を牽制する効果も期待できます。
また、想定される労務トラブルはその時々の情勢により変化していきます。
服務規定に定める内容については、定期的な見直しをおすすめします。

会社のルールや方向性を明確に定め、問題が起きた時も慌てず対処出来るよう、
ご自社の現在の服務規定を確認してみてはいかがでしょうか。

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