Q.従業員の不用意なSNS等の書込みによって、「炎上」をしてしまうケースが見受けられます。従業員に、SNS等の使用禁止を命じる事はできるのでしょうか?

2021.04.10服務規程

A. 会社が目的や方法等を問わず、従業員のSNSの利用を
一律に禁止するような事はお勧めできません。

就業時間中は、業務利用の場合を除き、SNSの利用を
禁止する事は問題ありません。
これは、従業員に職務専念義務があるためです。

業務外における、プライベートな使用については、
SNSを禁止する事は基本的にできません。

使用禁止命令のほか、SNSのID等を会社に届け出をさせるなどの
行為も、プライベートへの過度な干渉として、従業員との間で
争いになる恐れがありますので注意が必要です。

ただし、プライベートでの使用であっても
会社の社会的評価に重大な悪影響を及ぼす可能性の
あるものについては、会社があらかじめSNSの使用規制を
設けておく事が必要です。

上記内容を踏まえ、会社の対策として、「就業規則への規程」、
「SNS誓約書の提出」、「従業員教育」が挙げられます。

①「就業規則への規程」
就業規則の中で、機密情報の漏洩行為や、会社の信用・名誉を
傷つける行為などを禁止行為として規程するとともに、
それに違反した場合は、懲戒事由に該当しうることを、
明記する必要があります。

②「SNS誓約書の提出」
就業規則への明記と併せ、従業員が入社するタイミングで、
SNS誓約書を提出させる事で従業員の自覚を促し、不用意な
書込みを抑止するという効果があります。

③「従業員教育」
上記①②の効果を高めるために、就業規則やSNS誓約書の
内容を踏まえ、従業員教育を十分に行う事が必要です。
SNSの仕組みや不用意な書込みをした際のリスク、
従業員自身の被る不利益を具体的に説明すると良いでしょう。

従業員の不用意な書込みは、場合によっては企業が損害賠償請求を
受ける可能性もあり、従業員個人の問題では済まされなくなります。
ソーシャルメディアの使用について、会社のルールを設け、
就業規則を整備する事で、会社と従業員をリスクから守りましょう。

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