Q.セクハラ行為を受けたと社員から申し出がありました。事実関係の確認や加害社員に対する懲戒処分について教えていただけませんか?

2020.11.10懲戒・解雇

A.懲戒処分を与える場合には、就業規則での取り決めや
   社内ルールを守って、慎重に手続きを進める必要があります。
   また、本人の言い分を聞く機会を設けなければいけません。

 ●懲戒処分の流れ

  まずは事実関係を確認しましょう。メールやSNSの記録、
  録音データなど、客観的な資料を出来るだけ多く集めます。

  客観的資料が少ないケースもあるため、関係者からの
  ヒアリング等も併せて行いますが、相反する証言が出る事が
  あるため、いつ、どこで、誰が、誰に、何をしたか、
  出来るだけ具体的な証言を集めましょう。

  事実関係が明らかになったところで、それが懲戒事由に
  該当するか社内で検証し、悪質性、情状、監督責任の有無
  などを考慮し、処分を決定して行きます。

  懲戒を行うときは、次の要件が必要です。
   (1) 懲戒事由、懲戒の種類・内容が就業規則に規定されている事
   (2) 懲戒規定の内容が合理的である事
   (3) 懲戒処分に当たり平等性が保たれている事
   (4) 懲戒処分が規律違反の種類・程度などに照らして相当である事

  上記の通り、就業規則に懲戒事由が規定されているか
  確認のうえ、手続きを進める事になりますが、
  ここで重要なのが「弁明の機会」の付与です。

 ●弁明の機会の付与について

  懲戒処分を決定する前に、本人なりの理由や言い分、
  本人にしか分からない事情などを確認する必要があります。

  弁明の機会を与える事は、法律上の義務ではありませんが、
  懲戒解雇などの重い処分は刑罰に類似する制裁に当たり、
  当事者の言い分を聞かずに処分する事は適切とは言えません。

  また、弁明の機会の付与について、就業規則に規定がある場合、
  その定めに則って手続きを進めなければ、
  懲戒処分が無効とされるリスクが高くなります。

  仮に、本人が出社せず連絡がとれないなど、言い分を聞く事が
  難しい状況であったとしても、メールや自宅への文書の郵送など
  最大限、弁明の機会を与える努力を行わなければ、
  懲戒処分が無効となる可能性があります。

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