Q.フルタイムのパートタイマーの方から、「全く同じ業務をしている契約社員には賞与が支給されるのに、私には支給されないのですか。」と説明を求められました。時間給のパートタイマーにも、賞与を支給しなければならないのでしょうか。

2020.01.16賃金

A.質問を受けたパートタイマーの方と正社員、契約社員の
業務が同等ならば、賞与の支払が必要になる可能性があります。

また、質問を受けたパートタイマーに対して、
賞与を支払わない理由の説明が必要になります。

1.同一賃金同一労働の考え方

「均衡待遇」「均等待遇」という二つの考え方が
法律上、規定されています。

●均衡待遇とは

労働者を比べ、双方の業務内容等を考慮した場合に、
不合理な待遇差を設けることの禁止

●均等待遇とは

双方の業務内容を比べ、全く同じ業務をしている方を対象に、
差別的な取り扱いをすることの禁止

2.説明責任

法改正により、従業員から説明を求められた場合には、
合理的な理由を次の二点を踏まえて、説明しなければなりません。

●どのような待遇差があるか。

基本給や賞与、手当などの賃金、
福利厚生の利用等、あらゆる待遇を指します。

●どのような理由で待遇に差があるのか。

以下三つの項目を考慮して、それぞれの待遇差の
性質や目的を客観的、合理的に説明をします。

①職務の内容(責任の程度等)
②職務の内容と配置の変更の程度
③その他の事情(成果、能力、経験等)

単純に「パートだから」「将来の役割に期待
しているから」といった主観的、抽象的な理由は
認められません。

3.最近の裁判例

フルタイムのアルバイト職員に対する賞与支給について、
正職員の支給基準の60%を下回る場合には、不合理な相違
に当たるという判決がありました。(2019.2.15高裁判決)

本件では、契約社員について正社員の80%の賞与が実際に
支払われていたことも判断材料の一つとなっています。

賞与について、高等裁判所で、同一賃金同一労働違反と
されたのは初めてですので、今後の動向に注目です。
(現在は、最高裁へ上告)

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