Q.社員の労働時間は管理しておりますが、管理職の労働時間も管理しなくてはいけないのでしょうか。
2020.01.16労働時間と休日
A.働き方改革関連法案が可決され、2019年4月より
管理監督者の労働時間を把握することが義務化されます。
労働時間の把握方法に関する
「労働時間適正把握ガイドライン」では、
管理監督者を適用対象とはしておりませんが、
改正労働安全衛生法では、管理監督者を含めた
すべての労働者について、健康確保の観点から、
医師による面接指導のための労働時間の把握義務があります。
労働基準法で定められる管理監督者は、
「労働時間、休憩、休日」の対象から除外され、
時間外手当の支給が不要になります。(労働基準法第41条)
さて、ここで管理監督者とはどういう社員なのか解説します。
管理監督者とは「労働条件の決定やその他の労務管理について
経営者と一体的立場に立つ者」と定められております。
管理監督者に当たるかどうかは、肩書や職位ではありません。
裁判については、次のような論点が問われております。
1.職務内容、責任と権限の要件
→部下に対する労務管理において、重要な権限(採否への関与、
人事権など)を有しているかどうか。
2.勤務態様の要件
→自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること。
例えば、遅刻早退は欠勤控除されないなど。
3.賃金等の待遇の要件
→管理監督者としての地位や職責にふさわしい
賃金上の待遇が与えられているかが問われます。
・会社の中でどの程度上位であるか。
・社員と比較して高額な賃金になっているか。
・社員に時間外手当が支払われることで、
管理監督者の賃金額よりも社員の給与が高額になることがないか。
といったことが判断基準となります。
4.経営に参画していること
→管理監督者は経営者に代わって同じ立場で仕事をする必要があります。
会社の経営会議等の事業経営に関する決定過程に関与し、
どの程度発言力・影響力を有しているかが問題となります。
経営会議等に参与していない、もしくは経営会議等に
出席・関与はしてはいても、実際上は当該企業のトップ等の
ごく限られた場合には管理監督者性が否定されるケースがあります。
上記4点を満たしていない場合は、管理監督者性が認められず、
労働時間の把握が義務付けられることとなりますので注意が必要です。
また昨今、未払い残業代の問題が多く取り上げられております。
その一例として、管理監督者と位置づけをしていた社員から、
実態を伴っていないということで、管理監督者性が否認されて、
過去2年間に遡って残業代が請求されるケースが発生しております。
労働時間の管理については、働き方が多様になっている
ため、会社ごとで管理方法が異なります。
厚生労働省のガイドラインでは、
「全ての労働時間の状況が、
客観的な方法その他適切な方法で管理すること」
と義務付けております。客観的な方法とは、
タイムカードや、ICカード、パソコンのログなどが
あげられます。