【働き方改革シリーズ第4回】パワハラ対策

2021.01.26法改正

  今回は働き方改革シリーズ第4回
  「パワハラ対策」について解説いたします。

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  Q.パワハラの防止意識を職場に浸透させたいのですが、
    改めてどういう行為がパワハラとなり、どんな対策が必要
    か教えてください。

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  A.パワハラ防止の意識を職場に浸透させるために、
  労働者に対して定期的な意識付けを行うことは重要です。

  パワハラは、法律上、
  「職場において行われる、優越的な関係を背景とした言動であって、
  業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  労働者の就業環境が害されるもの」と定義されています。

  つまり、職場でのパワー(地位・優位性)を利用した、
  仕事を行う上で不必要・ふさわしくない行為により、
  相手の人格や尊厳を傷つけることで精神的苦痛を与えるものです。

  職場でのパワハラについて、厚生労働省は以下の6つに分類しています。
  1.身体的な攻撃
   身体に直接危害を加える、書類を投げつけるなどして威嚇する等

  2.精神的な攻撃
   人格を否定し、侮辱するような言葉をかける等

  3.人間関係からの切り離し
   一人だけ別室で仕事するよう命じる、会社のイベントに出席させない等

  4.過大な要求
   業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害等

  5.過小な要求
   業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の仕事を命じる、
   仕事を与えない等

  6.個の侵害
   業務遂行にあたり、私的なことに関わる不適切な発言、
   私的なことに立ち入ること等

  なお、うつ病等の精神障害の労災認定基準にも
  「パワハラを受けた時」という文言が明示されました。

  パワハラの発生により職場の環境が悪化した場合、
  現在在籍している社員のモチベーションダウンや離職、
  労働環境に関する悪評が広まれば
  新たな人材の確保が難しくなることや、
  被害者からの損害賠償請求等のリスクがあります。  

  また、法改正により職場におけるパワハラ防止のための措置が規定されました。
  現在その実施が努力義務となっている中小企業も、2022年4月から義務化されます。
  罰則は定められておりませんが、
  是正勧告や、社名公表の対象となる可能性があります。
  企業が講ずべき措置は以下3点が挙げられています。

  1.事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
   方針や対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発する

  2.相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
   相談窓口担当者を定め、労働者に周知する

  3.職場におけるハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
   被害者・行為者への適正な事実確認と配置転換等の検討、再発防止の対策を講じる

  パワハラが発生しない職場づくりのために、労使の信頼関係の構築を
  図りつつ、パワハラ防止意識を浸透させていきましょう。

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