Q.2022年4月より、職場におけるパワハラ防止のための措置が中小企業についても義務化されますが、どのような措置を講じれば良いでしょうか。

2022.03.25安全衛生・健康管理

  A.企業が講ずべき措置は以下4点が挙げられます。

  ①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
   方針や対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること
  ②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
   相談窓口担当者を定め、労働者に周知すること
  ③職場におけるハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
   被害者・行為者への適正な事実確認と配置転換等の検討、再発防止の対策を講じること
  ④その他併せて講ずべき措置
   相談者等のプライバシーを保護し、相談したことを理由に不利益な取扱いをしないこと

  そもそもパワハラとはどういったものか、そして講ずべき措置等、
  具体な方法を解説いたします。

 ▼パワハラの定義
  職場における「パワーハラスメント」とは、①~③までの要素を全て満たすものをいいます 。
  ①優越的な関係を背景とした言動であって
  ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
  ③労働者の職業環境が害されるもの
   ※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や
    指導については、該当しません。

  また、職場でのパワハラを厚生労働省は以下の6つに分類しています。
  1.身体的な攻撃
  2.精神的な攻撃
  3.人間関係からの切り離し
  4.過大な要求
  5.過小な要求
  6.個の侵害

厚生労働省『NO パワハラ』

 ▼措置を講じる上でのポイント
 ①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
  就業規則(ないしはハラスメント防止規程等)に
  どういった事がハラスメントに該当するのかや、ハラスメントを禁止する旨、
  ハラスメントを行った社員は厳正に処罰する旨を明記し、
  社員へ周知する必要があります。

 ②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  相談窓口をあらかじめ定め、社員に周知します。
  社員が相談しやすいよう、相談の方法(書面、口頭など)や相談があった場合に
  どのような対応をするか就業規則へ明記します。

 ③職場におけるハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
  ハラスメント被害者の意向や心理状態に十分配慮した上で、
  当事者双方に対し、客観的に事実関係の聴取を行います。

  事実確認を行った後、行為者への適切な措置、
  被害者へのフォローを行います。

  また、当事者への対応に終始せず、その後の再発防止に向けた取り組みを
  考えていくことが重要です。
  具体的には、社内における「事例の情報共有」や
  「事案発生の原因究明」、「再発防止研修の実施」等があります。

 ④その他併せて講ずべき措置
  社員が職場におけるパワーハラスメントについて相談を行ったことや、
  雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇、
  その他不利益な取扱いをすることは法律上禁止されています。

  相談者や行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、
  その旨を社員に周知する必要があります。

 ▼会社の社会的責任
  ハラスメント防止法には罰則規定はありません。
  しかし、会社の安全配慮義務違反や使用者責任を問われ、訴訟等となることもあります。
  

パワハラの主な判例

  予防策を継続的に取り組むことが再発防止につながります。
  取組内容を定期的に見直し、より効果的な防止策の実施に取り組みましょう。

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