休業手当、休業協定書、給与計算の実務対応

2020.05.01賃金

新型コロナウイルス感染症の影響が広がるなか、
経営者の皆様は雇用の維持に努力されていることと思います。
今回は「休業手当、休業協定書、給与計算の実務対応」について解説致します。

1.休業手当について
(以下、雇用調整助成金を「雇調金」とします。)

●そもそも、雇調金の「休業」に該当するか?

休業とは、所定労働日の所定労働時間内に
労働者を休ませるものであり、

「全一日、または、一定のまとまり(※)で
行われる1時間以上の短時間休業」が雇調金の
対象休業です。

(※)一定のまとまりとは、
部署・部門ごとや、職種・仕事の種類
勤務体制等によるまとまりを指します。

もともと休日であった日、特別休暇を与えた日
については、「休業」になりません。

事務所の営業自体は休みにしているが、
従業員を出勤させ、内部の事務処理等の業務を
している場合や、テレワーク勤務をしている場合は、
「休業」に該当せず、雇調金の対象とはなりません。

●休業手当はいくら払えばよいか?

労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による
休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当
(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならない
とされています。

実際にいくら払うのかは、労使で話し合い決めること
が適切です。平均賃金の60%を下回っていた場合は、
雇調金は支給されません。

正社員とパートの休業手当の支払率が異なる場合は、
雇調金の助成額の算出に当たっては、いずれか
低い方の支払率を用いて算出されます。

2.休業の労使協定書について

●雇調金の申請には、休業協定書の提出が求められます!

先ほど述べた通り、休業手当の支払額は、
労使の話し合いの上で決めることが適切と
されていますので、その確認書類として
「休業に関する労使協定書」が必要になります。

労務トラブルに発展させないように、
従業員の方へ説明し、労働者代表と
労使協定書を取り交わします。

●記載内容について

休業手当の金額は、
ご自社の経営状況や、会社方針に基づき、
平均賃金の60%を下回らないように決定し、
具体的な計算方法を記載します。

その他には、休業実施期間、休業時間数、
対象労働者の範囲、協定書の有効期限を定めます。

最後に、事業主と労働者代表が
それぞれの署名捺印します。

下記、休業協定書見本(PDF資料)をご参照ください。
https://bit.ly/3cNjjGy

(注意!)
雇調金の助成額は、単純に会社が実際に支払った休業手当の
9割といった計算ではなく、法律の定めによる別計算になります。
下記、助成金算定書(PDF資料)をご参照下さい。
https://bit.ly/2W7QT3z

3.給与計算の実務対応について

●雇調金の申請には、「休業手当」を
「通常支払われる賃金」と明確に区別して
記載されていることが求められます!

賃金台帳、出勤簿上では、項目を分けて
記載しておきましょう。

●雇調金の根拠書類は、最低5年間保管しましょう!

支給申請に当たっては労働局、ハローワーク等へ
提出した書類については、

後日、立ち入り調査や、行政からの求めに応じて
速やかに再提示することが必要です。

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