Q.風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く等、新型コロナウイルスの感染を疑われる社員がいた場合、会社はどのような対応を取ればよろしいでしょうか。
2020.05.01安全衛生・健康管理
A. 新型コロナウイルスへの感染が疑われる場合、
最寄りの保健所等に設置される「帰国者・接触者
相談センター」に相談をする必要があります。
診断結果を待たず、会社の自主的判断で休業させる
場合には、一般的には、労働基準法上の「使用者の
責に帰すべき事由」に該当するため、休業手当を
支払う必要があります。
(例えば、体温が37.5以上の場合、強制的に休ませる等)
感染しており、都道府県知事による就業制限により
労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に
帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられます
ので、休業手当を支払う必要はありません。
○休業手当とは
労働基準法において「使用者の責に帰すべき事由による
休業の場合においては、使用者は、休業期間中の休業手当
(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならない」
とされています。
不可抗力による休業の場合は、使用者の責に
帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務
はありません。
ここでいう不可抗力とは、以下の2つの要件を満たす
ものでなければならないと解されています。
①その原因が事業の外部より発生した事故であること
②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしても
なお避けることのできない事故であること
例えば、昨年の台風19号や、地震、津波、噴火、
風水害などの天災事変による事業場への被害においては、
そもそも出社が不可能であったり、出社しても帰宅が
困難になったりと、労働者の身の安全を考えると、
一般的に休業の回避が不可能であると認められるでしょう。
○欠勤日の賃金の取扱い
休業手当の支払いが不要である場合、
休業とした日は、ノーワークノーペイの原則に基づいて
月給者であれば欠勤控除を行います。
休業日に対して、年次有給休暇の事後の申請が
あった場合についてよくご質問をお受けしますが、
そもそも労働義務がない日には年次有給休暇の権利を
行使する余地はありませんので、その申出を会社が認める
必要はありません。
しかし、労働者と話し合い、会社も合意の上であれば、
事後の申請を認めても問題にはならないでしょう。
また、特別休暇として、通常の賃金を保証する
場合には、以下の内容を就業規則等で明確に定めて
おきましょう。
・特別休暇の種類
・特別休暇の日数
・休暇取得の手続き
・賃金の計算方法 …等々
○厚生労働省のHPにおいて、「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」が公表されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html